ⓔコラム17-10-5 反復性遺伝子異常を伴うAML (WHO分類)

染色体転座/逆位を伴うAML

ⅰ) t (8;21):RUNX1–RUNX1T1: AMLの10%を占める最も多い染色体異常.FAB分類M2の形態をとることが多い.t (8;21) 転座によりRUNX1の転写活性が喪失し細胞分化が停止する.

ⅱ) inv (16)/t (16;16):CBFb–MYH11: FAB分類M4Eoの形態をとり,芽球は顆粒球と単球への分化傾向を示し,好酸球増加を伴う.融合遺伝子CBFb–MYH11は転写因子RUNX1の転写活性を阻害し細胞分化を抑制する.RUNX1CBFbはcore binding factor (CBF) であり,t (8;21) 転座とinv (16)/t (16;16) をあわせてCBF白血病とよばれ,化学療法,特にAraC大量療法への反応が良好で予後良好群である.

ⅲ) t (15;17):PML–RARa: t (15;17) に由来するPML–RARa融合遺伝子が形成され,前骨髄球の段階で分化が停止し,FAB分類M3,APLを発症する.APL細胞は胞体に豊富なアズール顆粒を認め,Auer小体の集簇したFaggot細胞が特徴的である (図17-10-13C).APLの10%程に,アズール顆粒の目立たない変異型が存在し,診断に苦慮する場合がある (M3 variant).初診時白血球数高値 (1万/μL以上) は高リスクであり,播種性血管内凝固 (DIC) が高度で出血症状が強い.全トランス型レチノイン酸が著効し,予後良好である.

ⅳ) t (9;11):MLLT3–MLL: 11番染色体長腕11q23に存在するMLL遺伝子は9番染色体上のMLLT3をはじめ,さまざまな遺伝子と融合遺伝子を形成する.単球性白血病白血病 (FAB分類M4,M5) に多い.11q23異常は治療関連AMLや骨髄異形成関連AMLにおいても頻度が高く,予後不良である.

ⅴ) t (6;9):DEK–NUP214: FAB分類M2,M4の形態をとることが多い.また顆粒球系,赤芽球系に異形成を伴い,好塩基球が増加することが多い.予後不良.

ⅵ) inv (3)/t (3;3):GATA2,MECOM: FAB分類M1,M4,M7の形態をとることが多い.多系統の細胞異形成を伴い,血小板数が正常〜増加する特徴がある.予後不良.

ⅶ)BCR–ABL1を伴うAML (暫定分類): 慢性骨髄性白血病 (CML) の急性転化とは異なり,慢性期病態は存在しない.AMLの1%未満を占め予後不良.CMLに比べて脾腫や末梢血好塩基球割合は少ない.

遺伝子変異を伴うAML

ⅰ)NPM1変異を伴うAML: NPM1変異はAMLで最も頻度の高い遺伝子異常の1つであり,正常核型AMLの5~6割に認める.NPM1変異は予後良好因子であり,FLT3–ITD変異の予後不良効果を減弱するとされる.

ⅱ)CEBPA二重変異を伴うAML: AMLの4~9%を占める.予後良好.

ⅲ)RUNX1変異を伴うAML (暫定分類): AMLの4~16%を占める.予後不良.

〔豊嶋崇徳〕